活動中の注意事項TOP写真

「被災現場での作業って、どんな感じなんだろう?」
と初めての方は漠然と疑問に思うものです。

この記事では、活動中に注意すべきことの説明を通して、現場での雰囲気が分かるよう配慮していますので、是非一読ください。

最近では、”モンスターボランティア”と呼ばれ、現地側の人に疎まれるボランティアがいるようです。
相手の立場に立って考えれば当たり前、でも意外と気付きにくい、そんな活動中に注意すべき事がらを説明しています。

一生懸命働いて、被災された方たちの助けになり、喜んで頂く・・・それが災害ボランティア活動の『報酬』と言えるでしょう。
確実にその報酬を得るために、また怪我無く無事に活動を終えるために、ここの内容はしっかり呑み込んでおきましょう。

危険な場所には近寄らない

基本的に、ボランティアが危険な場所に派遣されることはありません。
しかしながら、地震であれ、水害であれ、災害の爪痕が至る所に残る中、ちょっと外れると依然として危険な場所というのは沢山あります。

地震で大きな被害を受けた一件のお宅を例に見てみます。

そのお宅に住んでいた被災者の方からボランティア要請が災害ボランティアセンターに入りました。
全壊した納屋を解体したので、瓦礫や木材などを撤去してほしい、との依頼です。
ボランティアが現場に来てみると、そのお宅の敷地内には、連絡通りに既に解体された建物とまだ解体されず傾いた倉庫がありました。
解体済みの建物は問題ありませんが、傾いた倉庫は、いつ余震で倒れるかもしれず大変危険な状態でした。

この例であげたケースの様に、すぐ近くに『危険』が潜んでいるケースがあるので注意が必要です。
従い、危険な場所に近寄らない、危険と思われる場所には個人の判断で近寄らない、このことを徹底することが大切です。

みんな一生懸命やっている、他人の非難は慎もう

ボランティアには老若男女問わず沢山の人が参加しています。
体力が有り余っている若者もいれば、そうでない年配の方もいます。
そうなると当然、同じ作業を行うにも、それぞれペースが異なるし、細目に休憩を取る人、そうでない人もいます。

あなたが一生懸命頑張るのは良いことです。
ですが、他の人があなたと同じ位頑張れなくても、作業量をこなせなくても、冷たい視線を送ったり、非難したりしないでください。
同じ給料をもらっている労働者ではないのです。

皆がそれぞれ被災者を助けたい、被災地の復興に尽力したい、そう思って無償の奉仕をするために来ているのですから。

また、多くのボランティアで運営されているボランティアセンターのスタッフや団体の主催者に対しても同様です。
一生懸命頑張っている人に対して、例えその段取りや采配があまり良くなくても(ましてや、それを平時のなりわいとして仕事している人ではありませんし)、決して非難すべきではありません。

但し、もう少し良くするための助言はケースによってはよろしいかと思います
その場合、非難調子にならないように気を付けると良いでしょう。

「来てやってる」は大間違い

時々、こういう人がいます。
「俺は遠いところから、わざわざ来てやってるんだ」という感じで話をするボランティア参加者。
勿論、ずばり直球でそう言う人はあまりいないと思いますが、言葉の端々にそう感じざるを得ない話し方をする人。

何か勘違いしていると思いませんか?

この方に、誰かが頭下げてボランティアに来てくれるようお願いしたのでしょうか?
いや、違いますよね。
被災地側からボランティア募集の情報発信があったとしても、頼まれたから行くのではなく、助けたいから行くのですよね。
あくまでもその主体は、誰でもない自分にあるはずです。

従って、「来てやってる」は大間違い

たまたま被災者になってしまった人がいて、たまたま被災者にならず助ける側に回った人がいる、それがいつ逆転するかわからない世の中。
あくまでも持ちつ持たれつ、お互い助け合いの精神で、という考え方を持っていれば、被災側の人に対して高飛車な態度は取れないはずです。

被災者プライバシーへの配慮が必要

避難所に避難してきている被災者、半壊・一部崩壊した住宅で片づけ作業をしている被災者、そういった人達は自身のプライバシーが守れない状況にいらっしゃいます。
従って、ボランティアは被災者のプライバシー保護には十分な配慮が必要です。

例えば、被災者であったり、被災した建物を無断で写真撮影するのはもっての外です(基本的に写真撮影はNGと考えてください)。

ドアが壊れて無いからといって、物が散乱して酷い状態だからといって、片づけのためとはいえ、断りもなく、被災者の家屋にずかずかと土足で入り込むのは厳禁です。
あくまでも断った上で、土足可否を確認した上で、入り作業を行いましょう。

また、作業対象のお宅以外にも周りを見回すと沢山のお宅が被災している状況下では、ジロジロと不必要に見たり、勝手に対象でないお宅の敷地に侵入したりしてはいけません。
当然のことですね。

被災者の私物は慎重に扱う

家屋内での片付け作業時、基本的にボランティアが入る前に住人の方によって、貴重品や大事なものは探し出して別の場所に保管されています。

ところが、時には住人の方が忘れていたようなもので、大事なものではないか、と思われるものが見つかることがあります(写真やアルバムなどが良い例)

従って、ボランティアは機械的に片付け(撤去)を行うのではなく、扱うものを見極め、慎重に扱い、必要に応じて住人の方に確認するようにしましょう。

ボランティアが来ている時位、被災者の方には休んで頂こう

ボランティアは複数人で構成した『班』で行動します。
班のメンバーが被災した家屋内およびその周辺で作業する中、その家屋の住人である被災者の方がその場にいる時もあるし、いない時もあります。

気を付けてほしいのは、被災者の方がいる時です。

「遠くからわざわざ来てくれたボランティアの人達が頑張っているんだから、自分も頑張らねば」と思って頂くのはいいのですが、既に長い避難生活や復旧作業で心身ともに疲労が蓄積している状況の中、ボランティアがいるがために、被災者の方が更に自分に鞭打つようなことはして欲しくないのです。
そう思いませんか?

やろうとしていることを無理に止めることはできませんが、ボランティアの作業を被災者の方が手伝おうとされたら、一言”ボランティアが来ている時位、休んでください(*^_^*)”と笑顔で伝えましょう。

それ位の思いやりの気持ちは持ちたいものですね。

インタビュアーにならない

ボランティアは時に、被災者の話し相手になることもあります。
話すことによって、自分の辛さを他人に共有してもらう(自分の肩の荷を下ろす)ことになるので、話相手になることは重要なことでもあります。

ところが、話し相手になるのではなく、ボランティア自身の興味・好奇心で被災者にインタビューする人がいます。

そのインタビューを切っ掛けに被災者が話したいことを話すことができるケースもあり、必ずしも悪いことではありませんが、ポイントは、自分の聞きたいことを聞く、のではなく、相手の話したいことを聞く、それに徹することです。

被災者の心情を無視した、単なるインタビュアーにならないようにしましょう。

災害ボランティアセンター(VC)の指示に従う

災害VCが、あなた(たち)を作業場所へ派遣する前に、必ず各種注意事項・指示事項が伝えられます。
当たり前のことですが、それにはそれぞれ理由があるので、指示には従うことが重要です。

筆者は、2016年5月に熊本の災害ボランティアに参加したのですが、その時の指示事項に、「お昼はここ(災害VC)に戻ってきて食べてください」というのがありました。
勿論、昼食用意してますよ~、ということではありません。
わざわざ往復40分の時間を使ってでも戻って食べろ、との指示です。

わたしは、その必要性に疑問だったのですが、同じ班の方は、その理由を察し、わたしにこう教えてくれました。
作業場所(被災者の家屋周辺)で食べると、住人(被災者)の方が、水やお茶を差し出ししたりと、気を遣わせてしまうからでしょう”と。

なるほど、尤もな話です。
そして、災害VC担当者の方の思慮深さに感銘を受けたものでした。

これはあくまでも一つの例ですが、災害VCの指示に従うことが重要であることが分かって頂けたと思います。


<更新履歴>
2016/11/29 記事公開
2020/06/29 文言・構成の小変更(マイナーチェンジ)